「忘れてしまえば良い」
「私の事など」
「その方が、きっと」
「二度、失わずに済む」
「こんな、役立たずの為に命を使わずに済む」
「いらない苦心をせずに済む」
「傷付かずに済む」
「だから、」
「忘れてくれ」
「忘れて、殺してくれ」
「…もう、疲れたんだ」
「だから」
「どうか」
「どうか」
「永遠のおやすみを」
(「忘れないで欲しい」
「覚えていて欲しい」
「私がいた事を」
「私と過ごした事を」
「お前と一緒に生きていた事を」
「忘れて欲しくない」
「本当は」
「死にたくない」
「なぁ」
「聞こえないもの、聞こえてはいけないもの」
「だけれども」
「本当は」
「愛されたいんだ」
「愛してたんだ」
「どうか」
「どうか」
「いつも通りのおはようを」)
表と裏と
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諦めて逃げたい建前と愛されたい本音と、
口に出してはいけない事と、出さなければ分からないものと。
自分でも気付かない内に育んでいたけれども、それを自ら潰そうとする叔父さんのお話。
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