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【あめつち】みぎりといろいろ

【昔のこと】
 
35年程前、元々は山村で暮らしていたみぎりともがりの姉妹は土砂で家を無くし、怪我をして動けなかった所をニンゲンである呉服屋の主人に拾われた。もがりはみぎりを養って貰うように呉服屋に嘆願し、呉服屋はもがりが遊郭に入って遊女として収入を得るならという条件でそれを飲み、もがりは齢15、6歳にしてうつつ花の遊郭に入った。
その後、みぎりは呉服屋に奉公しながら養われ、10歳になる頃には着物の生地の端切れを使って香袋を作り、道行く人々に売り歩くようになった。離れ離れになっても姉妹の情は深く、時折もがりの所にみぎりが顔を見せに行く事もあったようだ。21歳になったもがりも遊女として客を取り、そこそこの人気が出ていた。
 
そんな折、件の呉服屋の主人が突然もがりを身請けすると言い出した。理由も分からずの急な事ではあったが、みぎりを預かって貰っている以上何を言う事も出来ず、もがりは遊郭を去る事にした。また姉妹一緒に生活が出来るかも知れない、そう仄かな期待を持っての事ではあったが、呉服屋に戻ったもがりがみぎりと一緒に連れて行かれた先は山深い祠で、そこで二人は呉服屋の主人が雇った男達に斬り殺されてしまった。
呉服屋の主人は狩りをしようと分け入った森の主の怒りを買い、呪いを受けていた。「七日後までに生贄を差し出さねばお前の命はないだろう」と。その生贄として呉服屋の主人はみぎりともがりを選んで殺して捧げたが、森の主が使わせた呪いを遂行するアヤカシは、同じアヤカシであり年端も行かない少女であるみぎりともがりを生贄とは認めず、怒ってそのまま呉服屋の主人と家人を殺してしまった。
 
呪いを済ませたアヤカシが帰ろうとした所で、彼は気まぐれにみぎりともがりを助ける事にした。彼は、「呉服屋から奪った命と引き換えとしてどちらか一人は体を得る事が出来るが、どちらか一人は体を無くして何かに憑いて生きなければならない。お前はどちらを望む?」と僅かに残っていたもがりの意識に呼びかけた。そしてもがりは自身は付喪神として小袖に憑いて生きていく事を選び、みぎりには体を与えて欲しいと願い、アヤカシはもがりの希望通りに二人を黄泉帰らせて去っていった。
 
その後、意識を取り戻したみぎりは傍らに落ちていた小袖に憑いていた姉を纏い、ふらふらと各地を徘徊した末に宵闇横丁に流れ着き、30年経って今に至る。
 
 


 
【姉のこと】


 
もがり(デ、ス、カ、ー、ン、♀)
享年21歳
 
みぎりの姉。早くに両親を亡くしたせいもあって、妹のみぎりの事をとても大切にしていた。
優しく他人思いの性格で、時折みぎりからも「姉様は優しすぎます」とまで言われるような人柄だったという。
その性格からか遊女として働いていても人望はあったようで、肉体関係のみでなく癒しを求めて訪れる客も少なくはなかったらしい。
小袖の手となってからも性格はさほど変わらず、みぎりを常に傍から見守りながらサポートする存在となった。みぎりに香袋をまた売り歩こうと提案したのももがりである。香袋作りの際、香の調合や生地の縫い合わせの手伝いの他、特殊な効果がある香を作る際にはもがりの妖力を使って香りを練り上げている。その風貌から余り知り合いに姿を見られたがっていない様で、宵闇横丁以外の場所では特に昼間は着物の中に引っ込んでいる事が多い。
言葉を喋る事は出来ないが、みぎりとだけは意思を伝え合うことで会話が出来る。また、筆と紙があれば筆談も可能ではある。

●目目さん(すみ子さん宅)とは生前遊女をしていた頃にお客さんとしてお相手をしていた仲で、
彼の誠実な人柄と純情な所を当時から少なからず好いていました。
遊郭を去り、付喪神として生きるようになってからも彼の事を気にしていたようで、
再会した暁には今も昔も変わらない彼の様子に再び恋心を募らさせて頂きます!
 


 
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